不動産賃貸トラブル(借主側/建物)の解決までの流れ

不動産賃貸トラブル(借主側/建物)の解決までの流れ

建物の賃貸借契約においては、居住や事業の継続に関わる重要な権利が関係します。
貸主からの不当な契約解除・立退き要求、敷金や保証金の未返還、修繕義務の所在など、借主の立場から法的保護を受けられるケースは多くあります。
ここでは、建物の借主としてトラブルに直面した場合の、弁護士による対応の流れをご説明します。

1. ご相談・方針決定

まずは初回相談にて、以下の内容を丁寧にヒアリング・整理します。

✅ トラブルの基本状況と契約内容

  • 賃貸建物の種類(住居用/店舗・事務所など)と所在地
  • 賃貸借契約書・更新契約の有無と記載内容
  • トラブルの内容(契約解除通知、立退き請求、家賃増額、修繕拒否、敷金精算など)
  • 貸主の対応状況・過去の交渉履歴

✅ ご希望と対応方針の確認

  • 建物を引き続き使用したいか、立退きに応じる代わりに立退料を求めたいか
  • 修繕・契約条件の変更に合意できるかどうか
  • 弁護士が交渉や訴訟を代理することへのご希望

✅ 弁護士費用のご説明

  • 着手金(交渉、調停、訴訟など手続内容に応じて)
  • 成功報酬(立退料や敷金の回収額に基づく)
  • 実費(内容証明費用、登記簿取得費、訴訟印紙代など)

 

2. 委任契約の締結

正式にご依頼いただく場合、弁護士と「委任契約書」を締結します。
対応方針・費用・連絡方法などを明確にし、安心してご依頼いただける環境を整えます。

3. 調査・証拠収集

契約の有効性や、貸主の主張の正当性を判断するための証拠を収集します。

📌 主な調査内容
✅ 賃貸借契約書・更新契約・通知書の確認
✅ 家賃支払履歴、修繕履歴、契約違反の有無に関する資料
✅ 敷金・保証金の支払証拠
✅ 物件の使用状況(住居実態・営業の継続性)や現況写真など

4. 内容証明による通知・請求

貸主からの一方的な契約解除や退去要請に対して、借主としての主張を明確に通知します。

📌 内容証明に記載する内容
✅ 契約解除への不同意、使用継続の意思
✅ 敷金・保証金の返還請求
✅ 修繕・修理対応の要請
✅ 回答期限の提示と、応じない場合の法的手続の予告

5. 示談交渉(協議)

貸主と交渉し、使用継続・契約条件の調整・立退料の有無・敷金精算などについて合意を目指します。
合意に至れば、和解契約書にて条件を明文化します。

✅ 和解契約書のポイント
✔ 明渡の有無・時期と立退料の金額
✔ 原状回復の範囲と負担者
✔ 敷金・保証金の返還額と時期
✔ 支払履行の期限、方法、公正証書化の有無

💡 示談のメリット
✔ 裁判を避けて早期解決が可能
✔ 双方が納得できる柔軟な条件調整が可能
✔ 精神的・経済的負担を軽減できる

6. 訴訟提起・強制執行(協議が不成立の場合)

協議がまとまらない場合、借主から以下のような訴訟を提起することが可能です。

✅ 主な訴訟の例

  • 賃貸借契約の有効性確認訴訟
  • 立退料請求訴訟
  • 敷金・保証金返還請求訴訟
  • 修繕義務違反に基づく損害賠償請求訴訟

✅ 訴訟の流れ
① 訴状の作成と提出
② 裁判所での審理・証拠提出・弁論
③ 判決に基づき、必要に応じて強制執行(返還金支払・修繕命令など)

📌 注意点

  • 住居用建物には借地借家法が強く適用され、借主保護が原則
  • 商業用物件では契約内容・更新手続・事業継続性の主張が重要
  • 裁判期間は半年~1年ほどが一般的

7. 解決の実行・手続き完了

✔ 判決や和解に基づき、敷金返還・立退料の支払・修繕工事などの履行を確認します。
✔ 明渡しに応じる場合は、原状回復・鍵返却・退去立会い等もサポート可能です。

8. その後の対応

✔ 新居・新テナント物件の紹介や、引越し・移転先探しのサポート
✔ 将来のトラブルを防ぐための契約書チェック・交渉代行
✔ 税理士・不動産会社・引越業者などの信頼できる専門家の紹介も可能です

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